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月面に取り残された「最強生物クマムシ」が生存している可能性はある?

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ご存じの方も多いと思いますが、凍らせようが煮ようが真空パックにしようが、それに耐えて生き続ける「クマムシ」というとんでもない生命力を持った生物がいます。

琥珀の中に新種クマムシの化石を発見、「最強生物」の進化の謎に光、8300万~7200万年前

現在1,200種類ほどが確認されていますので「いまさら新種が発見されたところで何?」という感じではあるのですが、そういえば、数年前にクマムシが月面に取り残されたという事故があったことを思い出しました。

月に置いてきた「アレ」ってどうなったのでしょうか?

目次

クマムシはなぜ最強生物と呼ばれているの?

クマムシ
Schokraie E, Warnken U, Hotz-Wagenblatt A, Grohme MA, Hengherr S, et al. (2012)

ゆっくりのそのそと歩く姿から「緩歩動物(かんぽどうぶつ)」と名付けられたこの生物は、大きさは0.1mm~1mm程度ですが見た目がクマに似ているため「クマムシ」と呼ばれています。

摂氏150℃から絶対零度(マイナス273℃)の温度も、真空状態も深海の水圧も、さらには高レベルの放射線も耐えることから「最強生物」と言われています。

ちなみに寿命は半年ほど。

ですが乾眠という状態なら数十年、もしかすると半永久的に生きている可能性があるそうです。

乾眠とは、周囲が乾燥してくると体の代謝を止めて休眠状態になることで、この状態であれば信じられないほど過酷な環境でも耐えることができるようです。

クマムシを載せた月面探査機が墜落!クマムシが月で生きている可能性はあるのか

クマムシ

2019年、月に墜落したイスラエルの月面探査機ベレシートは人口琥珀に閉じ込めたクマムシを載せていました。

ベレシートに積み込まれていたのは『ルナーライブラリー』という地球の記録。

3,000万ページに及ぶ情報、人間のDNAサンプルや数千ものクマムシなどを収めたDVDの大きさのアーカイブだったようです。

ベレシート墜落でクマムシが生き残った可能性は?

まず結論から言うと、科学者たちの実験においては「クマムシ生存の可能性はゼロ」と推測されています。

乾眠状態のクマムシに”墜落と同程度の衝撃”を与えてみたところ、すべて砕け散ったそうです。

しかし、実際に月面で実験したわけでもなく、どの高さからどの角度で衝突したのか確認できたわけでもないのであくまでも「仮説」ということになります。

想像より低い高度から、地面ではなく垂直の壁に衝突したならば、その衝撃は想定しているよりずっと低かった可能性があります。

月面の環境は地球よりずっと厳しい

月面の温度は摂氏110℃からマイナス170℃。

厳しいですがクマムシには耐えられる範囲です。

月には空気が無くもちろん真空状態ですが、乾眠状態のクマムシには関係ありません。

最大の敵は宇宙線(高エネルギーの放射線)ですが、地球の300~1400倍とも言われている放射線を浴びたとしてもクマムシはおそらく生き延びているでしょう。

でも乾眠状態のままではクマムシといえどもただの物体でしかありません。

この先、繁殖・進化の可能性はあるのでしょうか?

生命活動の可能性を捨てきれない、月面にある「縦孔(たてあな)」の存在

実は月面には隕石の衝突などでできるクレーターとは異なる「縦孔」と呼ばれる深い穴があります。

火山活動などによって形成された溶岩洞だと言われており、その縦孔は深さ50mから100mほどで、孔の中は入り口よりさらに横方向に広がっている可能性があるようです。

孔の内部の放射線量は月面の10分の1以下、そして驚いたことに温度は約17℃に保たれているそうです。

この縦孔の中なら、空気さえあれば他の生物も生活できるかもしれませんよね。

もしもベレシートがこの縦孔に墜落していて、そこにクマムシが生活できる環境があったとしたら・・・

墜落した月面探査機ベレシートの名前はヘブライ語で「創世記」を意味しているそうです。

ベレシートによって取り残されたクマムシたちはやがて月の住人となり、まさしくこれから創世を迎えるということになるのかもしれませんね。

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