小泉進次郎農水大臣の農政改革を陰で支えたとされるのが、「農協の天敵」と呼ばれた元農水事務次官の奥原正明氏です。
二人の関係や奥原氏の現在の動向について、わかりやすく解説します。
備蓄米2千円の「小泉バズーカ」で進次郎株は急騰するか バックに「農協の天敵」の元農水次官(AERA DIGITAL)
「農協の天敵」元農水事務次官、奥原正明氏の経歴
奥原正明氏は、農協改革を徹底的に推進してきた改革派官僚として知られています。
奥原氏が「農協の天敵」と呼ばれる理由は、農地中間管理機構(農地バンク)の制度づくりや農協改革に取り組んだ経歴にあります。
1955年8月5日生まれで、東京大学法学部を卒業し、1979年に農林水産省に入省した奥原氏は、2011年経営局長に就任し、その後2016年6月から2018年7月まで農林水産事務次官を務めました。
同僚に向かって「政策のアイデアもない、議論もできない奴と会うのは時間の無駄」と言い放つ仕事の鬼として知られ、農協をねじ伏せ、掟破りの安倍官邸介入人事で事務次官のポストをもぎ取ったと言われています。
奥原氏の改革への姿勢は、守旧派からは蛇蝎の如く嫌われましたが、そんな悪評も彼にとっては勲章とされるほど徹底したものでした。
奥原氏は、既得権益に立ち向かう改革派官僚として、日本の農業政策に大きな影響を与えてきた人物なのです。
小泉進次郎農水大臣との関係は?
小泉進次郎氏と奥原正明氏は、農協改革という共通の目標を持つ改革パートナーとしての関係にあります。
両者の関係が最も注目されたのは、2016年の農協改革です。
当時まだ当選3回、35歳だった小泉進次郎氏が、自民党の農林部会長として農協改革案をまとめる中心的な役割を担った時期です。
この時期、奥原氏は農水省経営局長として農協改革の実務を担当しており、政治側の小泉氏と行政側の奥原氏が連携して改革を推進していました。
具体的な連携内容
小泉進次郎氏は、高い農業資材価格だけではなく農業村に支配された農政アンシャンレジーム(旧体制)の改革をおこなっていました。その当時、奥原氏が行政を担当していたのです。
この度、江藤拓農水相の後任に決まり小泉氏が現在農水大臣に就任したことで、奥原氏の過去の農協改革の経験が再評価されています。
両者の関係は、改革を志す政治家と実務に長けた官僚という理想的な組み合わせとして、今後の日本の農業改革において重要な役割を果たしていくことになるかもしれません。
奥原正明氏の現在
奥原氏は現在、民間企業のアドバイザーとして、引き続き農業改革に取り組んでいます。
2019年7月から株式会社オプティム経営諮問委員会エグゼクテイブアドバイザー、公益社団法人日本農業法人協会顧問として活動している奥原氏は、民間の立場から農業の近代化を支援しています。
特に株式会社オプティムは、AI技術を活用したスマート農業の分野で先進的な取り組みを行っており、奥原氏の経験と知見が活かされています。
最近では、備蓄米、放出遅れは農政の失敗と現在の農政を批判するなど、元事務次官としての立場から積極的に発言を続けています。
また、改革派・元農水次官が政府に直言!「官邸と役所の幹部に志がなければ、若手が付いてこないのは当然だ」として、現在の行政のあり方についても提言を行っています。
奥原氏は現在も日本の農業改革の第一線で活動を続けており、その発言力と影響力は衰えることがありません。
小泉進次郎農水大臣の改革路線を支える重要な助言者として、今後もその動向が注目されることになりそうですね。